『PPAP』聴くと異国の地で、りんごを投げてクビになった話を思い出した。
こんばんは。りんご大好きなけんぼーです(・ω・)ノ
今年はピコ太郎の『PPAP』ペンパイナッポーアッポーペンが世界中で大ブームになった年でした。
アナタもつい知らず知らずのうちに一度はペンパイナッポーアッポーペンと口ずさんだことあるのではないでしょうか?
最近、この『PPAP』を何気に観ていたら、ふと過去のある出来事を思い出してしまいました。
これは、けんぼーが20年前に異国の地でアップルピッキングの仕事をしていたときの話です。
あっ、それとね。この話にピコ太郎とPPAPは出てこんので、そっち方面を期待して来られてたらごめんなちゃいです(*'ω'*)
りんごの町
オーストラリアのパースという町から西南端にバスで3時間ほどの所にDOONYBROOK(ドニーブルック)というリンゴで有名な町があります。そこの町のバックパッカーが集まる宿には、収穫時期になると各農家のりんごを収穫するための労働者を募集します。
主にその仕事をもらう事が目的でその宿に一定期間滞在する人が大半を占めます。もちろん仕事を紹介してもらわなくてもオッケーですし、条件を聞いて合わなければ断ることもできます。
なにせ、りんごの町なのでりんご農家がほとんどです。そこで、たしか2か月ほど滞在し、2,3件の農家で仕事をさせてもらいました。
りんご収穫賃金は?
初めてりんごの収穫をした農家までは、朝の6時くらいに車でバックパッカーの宿に迎えにきてくれて、20分くらいのところにありました。りんごの収穫は朝の7時くらいから開始して、夕方の5時に切り上げます。
賃金は歩合制になっていて、大きなりんごを入れる木箱1箱がいっぱいで20$でした。最初はコツを掴むまでは、1日に3箱くらいしかできませんが、慣れてくると男性は平均4箱できるので1日に80ドルの収入をゲットできます。中にはピッキングを極めた強者がいて、1日6箱や7箱収穫したことをバックパッカーの宿に帰ってきたときに自慢げに報告し合う光景が日常です(笑)
ぼくも後半には安定して5~6箱は収穫できるようになったので1日に100~120ドルをゲットし、男性の平均4箱を上回るようになりました。始めの頃は悠長にお昼ごはんを30分以上かけて食べてゆっくり休憩時間を取っていたのですが、5箱以上ゲットするためには、昼食は手短に済ますことが必須だと途中で気付き、その頃には収穫中のりんごをたまにかじりながら一定のリズムを崩さずにりんごを取り続けるスタイルを確立しました。
今では単価も変わっているのでしょうか?もし、ドニーブルックでりんごのピッキングの仕事した経験がある人がいれば教えてください(・ω・)ノ
りんご農園の帰り道
このりんごを収穫する時には、基本二人一組で仕事をします。二人で共同で収穫するか個別で収穫するかは、パートナーと話し合って決めます。初めての農場で一度、迎えの車に乗らずにパートナーとヒッチハイクで帰ろうぜ!となって、りんごの収穫を夕方の5時を過ぎても粘った日があったのですが、いざ帰るときには、全く車が通らずヒッチハイクすらできない状態で街灯もない暗くなりつつある山道で獣の足音も聞こえ、怖くなって大人の男二人が歌を歌いながら1時間以上歩いて山を下りて帰ったこともありました。夜の静まり返った無音の世界にカサカサと獣の足音がついてくる何ともいえない緊迫感は今でも覚えています。 今では、楽しい一時だったと思えますけどね(笑)
りんごの収穫方法
りんごって木にぶら下がってますよね?そのりんごを一つ一つ丁寧に手でもぎ取っていくのですが、自分の身体の前に大きな袋を背負ってその中に入れていきます。そして、袋にいっぱい貯まったりんごを大きな木箱まで運んでその中に入れていきます。基本、その動作の繰り返しなのですが、移動時間を短縮するためになるべく一つの木にりんごがいっぱい付いているのが理想で、まばらに付いているのはすごく時間のロスになります。まず、稼ぐためにはこの木の選定は重要です。実の乏しい木ばかりだとはっきり言って稼げません。
一応はりんごの木がライン状に並んでおり、自分の担当のラインが振り分けられています。
他人のラインのりんごを取るのは、ルール違反ですが、なんせ敷地が広いため遥か向こうの方でりんごを取られても気づくことができません。色々な国の人が集まっているので、中にはズルい手法で取っている人もいます。
また、りんごの取り方は次回の記事で『学校では教えてくれないりんごで稼ぐ方法』をテーマで詳しく書いてみますので、これからりんごで荒稼ぎしてやるぜ!という方はぜひ参考にしてみてください。(あまりおらんよね?笑)
では、遅くなりましたが題名にある悲しきエピソードをお聞きください。
『You are fired!』
ぼくが最後に働いたファーム(農家)で働き始めて1週間が過ぎ、収穫も終わろうとしていた2週間目に近づいてた時のことです。りんごの木は高いので届かない場所は、はしごを使って取ります。
そして、てっぺん付近のりんごは直射日光に当たるため、色が変色して売り物になりません。なのでそういうりんごは時間と労力がかかるので基本取りません。
しかし、この時はもうけんぼーの中では、りんごピッキングをマスターしてきたプライドがあるので、いくら変色した腐ったりんごでも木に残ったままになるのは嫌だという変なこだわりが出来上がっていました。
そして、基本的に僕たちが働くその農園に雇い主が来ることは、ほとんどなかったし、そういうものだと思い込んでました。今までも、真面目に正攻法のみで違反をするようなこともしていませんでした。酷い人は、木そのものを揺らしてりんごを落としてそれを拾うという極悪な収穫も見たことがあります。落としてしまうとりんごにキズがつくので勿論してはいけないことです。
そして、はしごを使ってもどうしても届かない場所があったのですが、あるときに手で取れる場所の腐ったりんごをもって、手で届かない場所の腐ったりんごに向かって投げた日がありました。普段はそんなことは、しないのですがあまりにも歯切れが悪いので何としても綺麗に取りたかったのです。
そして、はしごを降りると一人の白人男性が立っていて何やらニコニコ微笑みながら僕に向かって何か言っています。
出典:https://twitter.com/oscarnoyukue/status/643593226633371648
『You are fired』と何度も言っています。
ぼくは、英語が堪能なわけではないので、何言ってんだろう?と思いながらニコニコして「あなたは燃えている?」的に捉えて「オマエは仕事に情熱的だ」とでも言ってくれているのかな?
と思って友達のフランス人に何と言っているのか聞いてみたら、この人はオーナーさんで君は解雇だよと言っているという事実を知ったのです。オーナーさんと初対面で会った言葉が『おまえはクビだ!』ということです。
ここでまたけんぼーは、ラッキーなことに新たな英会話フレーズを入手することになります。
その理由は、ぼくが腐ったりんごを投げているのをたまたま農場に来て、下から見ていたみたいでオーナーが手塩に掛けて作ったりんごを投げて落として収穫しているやつだと判断されてしまったことが原因でした。
そして、ぼくは必至に「投げたりんごは太陽光を浴びすぎて変色していたし、狙ったりんごも太陽光で変色して腐っていたので手も届かないから投げて落とそうとしたと主張しましたが、もちろん普段の仕事は見ていないので全く信用してくれません。向こうからしたら『うちのりんごを投げて収穫している質の悪いアジア人』にしか映らなかったと思います。
そして、普段一緒に仕事をしている友達の英語堪能なフランス人や周りの人たちもぼくのために必死にオーナーに説明してくれ、掛け合ってくれました。その時は、悔しさと友達の気持ちの有難さが入り混じって涙が今にもこぼれそうになりました。
そして、悲劇はクビだけにとどまらず、そこのファーマからさらに悪魔のような言葉が。。。
出典:By Gage Skidmore from Peoria, AZ, United States of America (Flickr) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
「アナタが今まで働いた賃金を全て半分にして支払います」
と言われ、
出典:http://bokete.jp/boke/4657499
「なんでなんや!投げたん今日だけやし、しかもあんたが見てたときだけやでー。」
と、けんぼーも訴えますがそんな英語も拙い日本人の言葉など信じてもらえません。
それまで真面目に働いてきた賃金まで半分になんて出来るのか?と納得できずに日を改めて、またまた交渉にいきましたがこの頑固オーナーは一切折れません。
フランス人とアイルランド人の友人も英語が未熟なぼくのために一緒に交渉してくれましたが、これ以上は友人にも迷惑が掛かるのでその気持ちに感謝し、半分を受け取ることで合意しました。
それから、この国の雇用主と労働者の間での賃金の支払いに関するルールなどを調べたのですが、こういう農園は個人で経営しているところがほとんどなので基本はオーナーの意向が主に尊重されるらしいのです。日本人向けの雇用トラブル相談所にも電話で問い合わせてみましたが、一度パースに戻らなければならない事と、予約が詰まっていて話のできる日程がかなり延びそうとのことだったので今後のスケジュールのこともあり、この件に関しては断念せざるを得ませんでした。
この時、相談に乗ってくれた仲間たちには感謝の気持ちで一杯です。これが今までの人生において最初で最後のクビ(解雇)経験だったと思います(笑)
まとめ
まあ、りんごを投げてクビになるなんて話はそうそうないのでこれも良い経験かなと今では笑って話せますが、当時は賃金半分になるのは死活問題だったので必死に抵抗していました。
この教訓から二度とりんごは投げてはいけないということを学び、あれ以来りんごを投げたことは一度もありません。
そして、各国の友人たちと別れるときも『DON'T THROW THE APPLE! KENBO!』が別れの合言葉になりました(笑)
アナタが、もしりんごの収穫をする機会があれば、絶対に投げてはいけません!絶対にです!
そして、りんごを取ることだけに夢中にならず必ず常に周りにファーマーが見回りに来ていないかをチェックすることを忘れずに。
そうすれば『YOU ARE FIRED!』の言葉を聞くことはないでしょう!
もしこの言葉を浴びせられたいⅯなアナタは、ファーマーの前で『PPAP』を口ずさみながら『ウンッツ!』と叫びながら、ありったけの力でりんごにペンを突き刺してみてください(・ω・)ノ
それでは。またね(・ω・)ノ
クリスマスにりんご農園でファーマーから『YOU ARE FIRED!』浴びせられたいアナタにはこれ!